名城大学 理工学部 メカトロニクス工学科 Department of Mechatronics Engineering

INTERVIEW 教員インタビュー

教員インタビュー INTERVIEW

畑 良幸
畑 良幸
名城大学理工学部 メカトロニクス工学科

自動運転車やヒューマノイドロボットがあたり前になる未来に向け、さまざまなセンサを開発

姿勢制御で力を発揮するMEMS慣性センサ、 触覚センサなど3つの柱で研究

機械

人間が操作をしなくても走行できる自動運転車用のMEMS慣性センサ、ロボット用の触覚センサ、神経網センシングシステムの3つの研究をおこなっています。

MEMS慣性センサは、傾きや回転運動を検知する加速度センサとジャイロです。電気回路と微細な機械構造からなるデバイスで、据え置き型ゲーム機やスマートフォンに搭載されるようになった頃から、一躍メジャーになりました。自動車のスピン防止をはじめ、テレビなどで見かける二足歩行のロボットが姿勢を保って動けるのも、この技術によるものです。MEMS慣性センサは機械・電気・情報の総合技術で設計項目も多く、試作はクリーンスーツを着て長時間おこなうため、学生には「半分、体育だから」と、よく言っています。

触覚センサは、ロボットが触っているものが固いのか、柔らかいのかなど、見た目では判断できないものの感触がわかるセンサです。これまでサイズが2.5×2.5ミリで、MEMS構造と大規模集積回路LSIを一体化し、これひとつでセンシングと通信が可能な触覚センサを作ってきました。回路で信号処理をしたり、電気信号に変えたりする機能もすべて入っています。

現在は触った材質が何なのかわかる触覚センサの製作にも手を広げています。プラスチックは触れてもそれほど冷たくないけれど、金属だと冷んやり感じるのは、人の体温が逃げるから。その熱流を捉え、特有の熱の逃げ方から材質を判断する仕組みです。学生のアイデアで炎天下の場合など材質の温度が変わっても材質を判断できるように。もともと数秒ほどかかっていた判断時間も、今では1秒以下で判別できるようになりました。

最近は、ロボットが触っているものを人が体感できる触覚提示デバイスの研究も新たにはじめました。

自らのアイデアで用途が広がる 神経網センシングシステム

畑 良幸

ロボット用に開発したさまざまなセンサを集約するためにつくったセンサネットワークが、神経網センシングシステムです。自動運転車にも応用し、車のシートにセンサをつけて体勢を検知。緊急時に人が運転を代われるかを判断することに使えればと考えています。

他にも、MEMSセンサを人の身体につけ、手を上げれば、ロボットも手を上げるようなウェアラブルセンサを、リストバンドくらいの手軽なサイズでできないか思案中です。センサで自分の動きを表示させれば、リハビリ効果を促進することもできると思います。

神経網センシングシステムはアイデア勝負です。データをどう扱うかなど自由自在にできるので、「やってみたい」という気持ちが何よりも大事。研究室の学生たちもやりがいや楽しさを感じながら、取り組んでいると思います。

ロボット掃除機など、何かに特化したロボットは広く出回っていますが、ヒューマノイドと呼ばれる人間によく似たロボットは、まだ家庭の中にありません。将来、ロボットが家事をしたり、子どもと遊んだり。何らかの形で人と接するヒューマノイドロボットが出てくるでしょう。その時のためにセンサをつくり、人と同じ感覚を与えたり、より操作しやすくなるように研究を続けています。